2014年06月11日

当院の院内感染対策

5月18日の讀賣新聞の一面に、歯科医院での院内感染を不安視する内容の記事が掲載されました。口腔へのアクセスが不可欠な歯科医療機器の滅菌に国民の強い関心があることは、患者さんサイドから考えれば当然であり、感染予防の問題は、医療担当者にとって治療以前のことです。大部分の歯科医が、最初に考えることです。


手術用器具の消毒にオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を用いることは、殆どの医療機関で主流となっています。135°Cの高温高圧によりすべての細菌・ウイルスを完全に死滅させます。欠点は、135°Cの高温に耐え得る器具にしか使用できないこと。また、従来型ですと滅菌乾燥に30分程度の時間を要することです。

オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器) オートクレーブ(トレー部)
▲オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)

当院では、口腔内で使用する基本セット(ミラー、ピンセット、歯石除去チップ)、歯型を採るトレー、外科手術器具等々は、全てオートクレーブで滅菌し使用しています。
注射針やメスの刃は、全て使い捨て(ディスポーザブル)を使用しています。

使い捨て注射針 使い捨てメス
 ▲ディスポーザブル注射針(左)とメス(右)

ハンドピース
▲ハンドピース
小型のオートクレーブ、STATIMS
▲STATIMS

日常診療で最も使用頻度の高いハンドピース(ドリルの柄)は、歯を削る器具で、先端にドリルを取り付ける装置と一体化していますが、これは1回ごとに捨てる器具では有りませんので、患者さん毎にオートクレーブでの滅菌を必要とします。

問題は、従来のオートクレーブでは、30分もの時間がかかることです。現実問題として、30分では当院診療システムでは不可能です。そのため当院では、別に眼科でも使用している小器具の滅菌に適した小型のオートクレーブ(STATIMS)を20年前から導入しています。これは3分で滅菌完了なので全ての患者さんに対応できるのです。


ドリルには、スチール製か金属の心棒に人工ダイヤの粒をまぶしたものがあり、使い捨てはありません。使用後は、超音波洗浄機で削り粉を取り除いたのち、薬液(ディスオーパ)で滅菌しています。
この薬理作用は、細菌・真菌に対して5分以内で殺菌効果、ウイルスに対して5分以内に不活性化しますので、10分以上浸します。感染の問題は全くありません。

ドリルバー ダイアモンドバー ディスオーパ
▲ドリルバー(左)、ダイアモンドバー(中央)、滅菌用薬液 ディスオーパ(右)

当院の滅菌のルーティン

全ての外科器具消毒→ オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)
ドリルを取り付ける柄の部分→ STATIMS(小型のオートクレーブ)
ドリル類→ 超音波洗浄後、薬液に10分以上浸す
メス・注射針→ 滅菌済み使い捨て(ディスポーザブル)使用

ちなみに、口腔内で直接使用する薬剤で、瞬時に全てのウイルスや細菌を死滅出来るものはありません。強力な薬剤を使用すれば口腔粘膜に別の問題が発生します。
口腔内には700種類の口腔細菌が常在して、腸内細菌と同じようにバランスをとって健康を維持しています。これが崩れると口腔や大腸の健康を害します。
既に感染症に罹った患者さんの治療には、決められたチェア、専用の器具で診療を行なっています。

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 横浜市青葉区青葉台の川原歯科医院


posted by 川原 at 23:48| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする